書評・レビュー

告発の巨塔/江上剛

久しぶりに本が好き!の献本でいただいた一冊。現在、タイムリーに問題が起きているみずほフィナンシャルグループをモチーフとした、三行合併後の銀行における主導権争いを描いた一冊。主人公はミズナミフィナンシャルグループ(MFG)の広報部に勤務する関口…

インビジブル・エッジ/マーク・ブラキシル+ラルフ・エッカート(著)/村井章子(訳)

BCGのコンサルタントである著者らが、企業や社会、国家が継続して競争優位性(本書では、「エッジ」と定義)を維持する手段として「見えざる資産」である「知財」の重要性を説いた一冊。 本書は大きく3部構成にわかれております。 第一部では、蒸気機関の歴…

静かに健やかに遠くまで/城山三郎

2011年初書評は、年末に読んだ城山三郎の箴言集。 タイトルの「静かに健やかに遠くまで」は、城山三郎さんの人生のコースを変更させるきっかけにもなった箴言、「静かに行く者は 健やかに行く 健やかに行く者は 遠くまで行く」を縮めたもの。 本書は、城山三…

ドラッカー流最強の勉強法/中野明

「もしドラ」に始まるドラッカーブームに対し、何か変化球の一冊を読もうと思って買ったものの数カ月間積ん読状態で放置してしまっていた一冊。本書は、ドラッカーの著書の中から、自らの学習法についてドラッカーが記した内容を著者の解釈でまとめた一冊と…

3652/伊坂幸太郎

デビュー10周年に当たって発売された伊坂幸太郎初のエッセイ集。 本書ではデビューしてから10年、3652日間に伊坂幸太郎が様々な新聞や雑誌、書籍の解説などに提供したエッセイがまとめられております。 読んでいてまず思ったのは、小説の登場人物達と彼自身…

さびない生き方/藤原和博

「35歳の教科書」「つなげる力」に続き、今年3冊目の藤原本。 本書の構成は 人生は「一万時間」で決まると心得よ お金じゃ買えない仲間を増やせ 人と反対の道に踏み出せ 現実を突破する仕事のテーマを探し出せ マイ哲学を武器に、よのなかを切り拓け の全五…

おゆとりさま消費

20代前半の相手とのする世代間ギャップを感じた時にとりあえず使う「ゆとり世代」という言葉。「バブル世代」と同様、世代間ギャップを表現する際にこれ程わかりやすい言葉はないと思いつつ、実際、「ゆとり世代」の特徴がどこにあるのかよく知らないな、と…

132億円集めたビジネスプラン/岩瀬大輔

ライフネット生命の岩瀬副社長の新著。本書では、 事業機会の発見 市場分析 自社戦略 財務戦略と組織づくり リーダーシップとキャリア論 の5点について自らがライフネット生命で策定したビジネスプランや戦略の話をベースとして語られております。 本書の特…

マリアビートル/伊坂幸太郎

伊坂幸太郎久々の書下ろしは、殺し屋達の競演、グラスホッパーの続編。前作から数年が経過した本作の舞台は、東京から盛岡に向かう東北新幹線の車中。多種多様な殺し屋が新幹線という閉鎖空間の中で、それぞれのミッションや意思にそって行動する中で、各自…

拝金/堀江貴文

ホリエモンの処女小説は自身の経験を交えた経済小説。 田舎の閉塞感に病み都会に出てきたものの目的を見いだせなかった青年「藤田優作」が、謎の「おっさん」の尽力の下、ITベンチャーのトップとして疾走していくという物語。 本書の見所は、藤田優作がおっ…

バイバイ、ブラックバード/伊坂幸太郎

伊坂幸太郎の新刊、「バイバイ、ブラックバード」は太宰治の未完の絶筆『グッド・バイ』をモチーフにした連作小説。5人の女性と同時進行で付き合っていた星野一彦が、遠くに旅立つ前に偽物の婚約者を連れて彼女たちに別れを告げていくというストーリー。50人…

iPadを一日触っての感想

一日iPadを触ってみましたが、やはり格段にすぐれています。 あれほど優れたデバイスだと思っていたiPhoneですらかすんでしまう位。 PCに慣れている立場として、やはり従来型のキーボードと同じ感覚で文字をタイプできるという点はまず大きな魅力。また、PC…

4月の読書状況

4月後半から仕事でバタバタし、読書量が減ってしまったけれども、読んだ本をリストアップ まずは、読み終わった本。 虐殺器官 明治三十七年のインテリジェンス外交 Story Seller Vol.3 1Q84 BOOK3 巨大通信ベンチャーの軌跡 ハーモニー そして読みかけ/読み…

1Q84 BOOK3/村上春樹

前作のBOOK1・2からおよそ一年、先週末に発売された1Q84 BOOK3を週末の間に読み終えました。本作は、「天吾」と「青豆」の二人の主人公に加え、組織に頼まれ「青豆」を追う「牛河」の3人のストーリーをカットバックさせていく形式。前作から時間が経ってい…

オー!ファーザー/伊坂幸太郎

伊坂幸太郎の新刊は新聞連載作品。書かれた時期はゴールデンスランバーよりも前のようですがようやくの刊行となったようです。 主人公は父親が4人いるという不思議な家庭に暮らす高校生の由紀夫。タイプが全く異なる4人の父親に振り回される日常を送る由紀…

35歳の教科書/藤原和博

30歳になったということもあり、少し先取りしようと思って読んだ一冊。本書を通して書かれているコンセプトは非常にシンプル。 今後の成熟社会においては『終身雇用』『年功序列』をベースとした組織の下での『正解主義』に基づく社会(=正解を求める社会)…

エデン/近藤史恵

サクリファイスの続編、舞台はフランス。スペインのチームを経てフランスのチームに移籍した白石誓(通称:「チカ」)は、始めてツール・ド・フランスの舞台に臨むことになります。しかし、ツールの開始直前に所属チームのスポンサーチームの撤退を知り、自…

春を嫌いになった理由/誉田哲也

久しぶりに読んだ誉田作品はホラーサスペンス。冒頭から残虐なシーンで始まった本作は、2人の主人公が存在するカットバック形式で物語は進みます。メインストーリーの主人公は過去のトラウマから霊能力を一切信じなくなったフリーターの瑞希。テレビ局で霊…

フリーター、家を買う。/有川浩

2010年の本屋大賞ノミネート作品。 主人公は新卒で入社し会社を3ヶ月で辞めた後、ニート生活を送っていた誠司。いつものように自由気ままなニート生活を送っていたところ、病院に嫁いだ姉からの電話で母親がうつ病にかかっていたことが判明します。そして、…

クラウド時代と/角川 歴彦

発売前に全文をWebで掲載したことも話題となった本書、応援の意味もあり購入し、読み終えました。結論から言うと、今年一番がっかりした本。普段はしない読み飛ばしをする位でした。なぜ、がっかりしたかというと角川さんだから書けるという本ではなかったか…

積読状態の解消に向け(その2)

前回忘れていた積読本の追記と昨日購入した追加の書籍を備忘までに。読み終わっている本 企業再生プロフェッショナル 追加した本 ソロモンの犬 クラウド時代と TOEICの勉強や私生活のバタバタで1月はほとんど書籍を読む時間がなかったですが、毎年目標として…

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト/酒井穣

「はじめての課長の教科書」の著者である酒井さんの新刊本です。 一言で言えば、ベンチャー企業用の人材育成マニュアルといったところ。 まず、第一章において「何のために育てるのか」と目的をはっきりとさせた上で、第二章から第五章において「育成ターゲ…

積読状態の解消に向け

最近、自宅で半身浴をしている最中や通勤最中に読書をする習慣ができたこともあり(今まではシャワーだった上、通勤時は新聞を読んでいたので) だいぶ読書のペースがあがってきました。 そういうわけで、先週から今週にかけて、読み終えた本をメモ。 フリー…

果断 隠蔽捜査2/今野敏

吉川英治文学新人賞を受賞した隠蔽捜査の続編であり、山本周五郎賞を受賞した作品。 本作の主人公竜崎は、警察庁のキャリア官僚で、複雑な組織の中で合理性を重視するがために変わり者と標されている人物です。 前作において述べられた息子の不祥事の結果、…

サクリファイス/近藤史恵

2008年の本屋大賞で2位になった作品。前々から気になっていたのが文庫化されたということで購入。 主人公は自転車のクラブチーム「チーム・オッジ」に所属する白石誓(通称:チカ)。 高校時代まで陸上競技を行っていたチカは、自らの記録と勝利にに執着する…

60歳までに1億円つくる術/内藤忍

TOEICが終わったので読書を再開。待ち合わせで1時間程度空いていたので、サクっと読めそうな本として購入した一冊。本書の構成は非常にシンプル。お金が貯まる仕組みを((収入−支出)+資産)×運用利回り という式で表し、それぞれの要素について解説を加え…

マンガ大賞ノミネート作品

2010年のマンガ大賞のノミネート作品が発表されたとのこと。今年は以下の10作品 「アイアムアヒーロー」花沢健吾 「アオイホノオ」島本和彦 「宇宙兄弟」小山宙哉 「娚の一生」西炯子 「海月姫」東村アキコ 「高校球児 ザワさん」三島衛里子 「テルマエ・ロ…

日本辺境論/内田樹

昨年末に読み終えていたけれども、レビューできずにいた本について書いておくことに。 本書は、日本の地理的な辺境性からその国民性について論じている一冊であり、日本人の国民性をうまく言い得た一冊。 本書の内容を簡単にまとめてしまえば、「日本の文化…

2009年の振り返り(書籍編)

映画、ライブと続き、書籍についても少し振り返ってみることに。 2009年の前半は「松下幸之助」「本田宗一郎」「藤沢武夫」「石田禮助」「石坂泰三」といった昭和の実業家に関する書籍を意識的に読みました。(実業家以外という意味では「白洲次郎」も近いテ…

インドの衝撃/NHKスペシャル取材班

前述の「世界を席巻するインドのDNA インドが進化する5つの理由」がマクロな視点で経済を中心としたインドの現状をつづった書籍だとすると、本書はよりミクロな点に注目した一冊です。 2007年に放映されたNHKスペシャルの内容を元に再構成された本書は、大き…