さびない生き方/藤原和博

 「35歳の教科書」「つなげる力」に続き、今年3冊目の藤原本。

 本書の構成は

  • 人生は「一万時間」で決まると心得よ
  • お金じゃ買えない仲間を増やせ
  • 人と反対の道に踏み出せ
  • 現実を突破する仕事のテーマを探し出せ
  • マイ哲学を武器に、よのなかを切り拓け

 の全五章から成立し、各章において6〜10、合計41のサブテーマが設定されております。

 本書を読んでいる中で痛切に感じたのは、「成熟社会におけるセルフマネジメントの重要性」ということ。

本書の中で、藤原さんはいくつも相反する考え方を読者に提示しております。

 例えば、P55〜P61の行では、「定年まで辞めない覚悟で、思う存分やれ」と言いつつ、「上司がヘボだったら、さっさと辞めたほうがいい」と言います。
 また、P113〜P121においては、「無駄をしろ!」と言いつつ、「いるモノといらないモノをきっちり分けよ」とも言います。

 こういった内容はキーワードだけ聞くと誤解を招きそうですが、本書の内容においては、決して矛盾する内容となっておりません。

 なぜならば、上記のキーワードの裏には、自らの価値判断による判断や行動が重要であり、その価値判断力を磨き上げる必要があるということがあるからです。

 これからの「成熟社会」においては「情報処理」ではなく「情報編集力」がカギとなる。また、情報編集力を磨くためには、他人の力を含め、仕事や生活を通じ「真・善・美」の判断基準を一人ひとりが身につけていかなければいけない、と藤原さんは本書を通じ、繰り返しのように説いていきます。

 一足先に成熟社会を迎えているヨーロッパ各国の経験がこういった考え方には強く影響されているように思われますが、本書にはセルフマネジメントを行うにあたり、なるほどと思わされるノウハウが多数存在しております。

 例えば、サプライズを通じた人間関係の構築法や自己紹介の方法といったものが挙げられますが、今後定期的に読み返すことによって染みこませていきたくなるような内容となっておりました。

 年末年始に向けた、自己反省や今後の目標設定にあたっても参考になる一冊でした。

さびない生き方

さびない生き方