エデン/近藤史恵

サクリファイスの続編、舞台はフランス。スペインのチームを経てフランスのチームに移籍した白石誓(通称:「チカ」)は、始めてツール・ド・フランスの舞台に臨むことになります。

しかし、ツールの開始直前に所属チームのスポンサーチームの撤退を知り、自らの契約問題も残しつつ、チカのツール・ド・フランスはスタートします。そして、そこにチーム存続のために、自チームのエースではなく、他チームの新鋭をサポートするようにという話が出てき、チームはギクシャクしていきます。

そういった精神的に消耗させられるような話の中、自身が得意とする山岳ステージで、チカはアシストの立場を超えた勝負を繰り広げ、日本人初となる快挙も成し遂げたりもします。

一方で、どうしてもスッキリしない気持ちを抱えながらのレースが続きますが、あることから自分のやるべき事を再確認するようになります。

そして、最後の山場となるアルプスでの決戦に残りますが、ここでアクシデントが発生、意外な形で、物語はクライマックスへと向かっていきます。

前作同様、本作も自転車のロードレースの臨場感は見事です。また、新たに登場する登場人物も個性的な人間が多い上、ツール・ド・フランスの背景がきちんと描かれていることも読み手を引きつけるには十分。

予想以上にチカが成長しているのを疑問に思う人もいるでしょうが(ドラゴンボールほどではないですけども)、それ以上にエンターテイメントとして良く出来ており、純粋に面白いと言える作品でした。

前作を読んで楽しんだ人は、間違いなく本作も満足できることでしょう。

エデン

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