「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト/酒井穣
「はじめての課長の教科書」の著者である酒井さんの新刊本です。
一言で言えば、ベンチャー企業用の人材育成マニュアルといったところ。
まず、第一章において「何のために育てるのか」と目的をはっきりとさせた上で、第二章から第五章において「育成ターゲットの選定」「育成のタイミング」「育成プログラムの設計思想」「誰が育てるのか」といった実践的なノウハウについて述べていきます。
その上で、「教育効果をどうやって測定するのか」「育成プログラムの具体例」といった所について、自社(フリービット)の例を交え述べていっております。
わかりやすい文章の構成であり、原理原則の紹介が中心である点でまさにテキストとしてはなるほどと思わされます。
反面、「あくまで入門書であり、本当に人事設計が必要とされる段階ではより高度な専門書を読んだ方が良さそうだ」という印象を受けました。
その理由としては、コンセプトドリブンで議論が進んでしまっており、具体例に乏しかったことがあります。(例えば、「こういう業種だったらこういう人材が…」ということがより細かに書かれた方が面白かったでしょう…。残念ながら、教育体系がきちんとしているIT系の大企業にいた身としては「似たようなのやっていたなあ」というような印象の方がより強く受けてしまいました。)
人材の専門家(になろうとする人)が読む本というよりは、今後、自分自分がより成長しなければいけない一方で、部下や後輩を育成しなければいけないような人が参考にした方がいい本かもしれません。
そういう点で、30前後の「主任クラス」の人間が読むと面白いと思います。興味のある方はご一読ください。
- 作者: 酒井穣
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/01/16
- メディア: 新書
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