クラウド時代と/角川 歴彦
発売前に全文をWebで掲載したことも話題となった本書、応援の意味もあり購入し、読み終えました。
結論から言うと、今年一番がっかりした本。普段はしない読み飛ばしをする位でした。
なぜ、がっかりしたかというと角川さんだから書けるという本ではなかったから。
「今後のメディアはどうなっていくのか、どのようにインターネットと付き合っていくのか」ということを、新しいメディアもうまく活用し、出版不況の中で収益をあげている角川ホールディングスのCEOが書いている本を個人的には期待していました。
しかし、本書はといえば
「Googleすごい、Amazon脅威、Appleさすがだ。既存の巨人であるMSを含め、4強による総力戦がはじまる。」
「チープ革命によってクラウドが実現する一方、情報がすべてアメリカに流れるのは問題だ」
「クラウド化することで、個人のクリエイターが活躍できる」
といった、普段からインターネットの潮流を意識している人間なら誰でもわかるような内容を聞きたくはなかったわけです。
むしろ
「Youtubeを使って、アニメ事業はこのように収益をあげた」
「Bitttorentとの合弁は今後、こういった方向に向かっていく」
「角川グループの電子書籍戦略はこういう風に向かっていく。いつごろ、どのPFにどのようなコンテンツを中心に提供していく」
というような内容を内側の視点から書いた本の方がよっぽど価値があったでしょう。
わかりきった総論なんかいらず、生々しい各論が読みたかった人間にとって本当に残念な一冊でした。