ソーシャル社会におけるコンテンツビジネスについて考えたこと
昨日のエントリーで書いた「電子書籍・コミックサミット」で印象的だった話と、そこから思った今後のコンテンツビジネスの話を。
角川会長の話で面白かったのは「『知識社会』から『ソーシャル社会』へのパラダイムシフト」の話。
モノから知識 → 知識から情報へ
量から質へ → 量も質も(巨大知と集合知)
知識が富を生み出す → 情報が富を生み出す
製造から知的創造へ → 大衆の数の力と大衆が自ら主張・創造へ
マスメディアの力 → ソーシャルメディア
といったパラダイムシフトが起きているという説明の後、角川会長はソーシャル社会では「1000万人のプラットフォーム」が発生していると話をしておりました。
「1000万人」というキーワードが頭に残っていて考えていたところ、一つ後から気がついたことがありました。それは、過去の日本において、ユーザが能動的な情報取得を行うメディアで1000万人を超える安定的なユーザを抱えるメディアは一時期の読売新聞やYahoo! Japanを除けばほぼ存在していなかったということ。そして、それに対し、この数年で数千万人のユーザが存在するプラットフォームが生まれてきているということです。
そのことは「『マス』を超えた存在としての『ソーシャル』の発生」という大きな構造の変化を感じさせます。
もう一つ、考えていて面白いと思ったのは、1000万人を超えるソーシャルプラットフォームの上で数万人〜数十万人規模のコアコミュニティが発生する二層構造が出来上がっていること。
そこで思ったのは、この構造変化と相互の関連性を理解することが今後の出版ビジネス、さらにはコンテンツビジネスには大事なことではないのかということ。
- 商売を成立させるのは「コアコミュニティ」である(決して、「マス」コミュニティではない。)
- 「コアコミュニティ」の構築に「ソーシャルメディア」を活用する。
- 「マス」は中心ではなく、コア層が拡大したもの。
今後のコンテンツビジネスがビジネスとして成立していくためには上記の考え方を理解し、その上で、いかにして「『コア』をつかみ、『マス』に広げていく」かが肝になっていくことでしょう。
そして、そのためには、マーケティングやプロモーションをどのようにを行っていくか、そういった視点を作り手サイドも含めどこまで考え・プロデュース出来るかどうかが大事となり、さらにはビジネス上の勝敗もそこで決していくことでしょう。
もっとも、ひとりの天才が生み出すコンテンツには敵わないのかもしれないのが面白いところではあるのですけれども。