電子書籍・コミックサミットin秋葉原基調講演『iPadへの挑戦−編集者の力 〜クラウド時代に出版社が飛躍するために〜』 講演者:角川グループホールディングス 会長 角川歴彦
先週の金曜日、秋葉原で開催されていた「電子書籍・コミックサミット」の基調講演を聴きにいってきたので、その内容を少々。
講演内容を箇条書きでまとめると、以下のような感じ。
- 『知識社会』から『ソーシャル社会』に世の中は変化し、1000万人クラスのプラットフォームが発生している。(Web2.0の時代は100万人)
- ソーシャル社会においては数多くの「ソーシャルコンテンツ」が生み出されているが単独ではビジネスにならない。
- 「ソーシャルコンテンツ」はプロの「プレミアコンテンツ」に昇華させる必要があり、これこそが出版社の仕事であり、編集者の仕事。編集力。である
- 単機能の電子書籍リーダー(例:Kindle)と多機能の電子書籍リーダー(例:iPad)を同列に議論してはいけない。
- 多機能の電子書籍リーダーの上でコンテンツは「バンドル」される。(同一端末上でのメディアミックスの実現)
- 将来的には「バンドル」を超え、融合されていくだろう(新しいコンテンツの誕生)
- 新しいコンテンツの誕生に備え、出版社は「著作隣接権」を獲得しなければいけない。
- 電子書籍はまだバズワードの域を過ぎていない。この段階で利益配分等を論じているのは時期尚早ではないか?
- 角川の電子書籍のテーマは「コンテンツひとつひとつの価値を高める」「新しいコンテンツへの挑戦」「新しいマーケット、新しい顧客の創造」の3つ。
- そこでBook Walker
- 特徴は5点。「角川グループ10社が集結」「映像、グッズなどの横展開」「外部ソーシャルメディアとの連携」「外部CPの受け入れ」「リアル書店との連携」
- 電子書籍は「宇宙に散らばっている星のようなもの」 その中で、星雲を作るイメージ
- 電子書籍はプッシュ型のビジネス。クラウド場に履歴が蓄積され価値を生み出す
- 音楽業界から学ぶことは大きい
- ニコニコ動画との提携は、1900万人ものソーシャルな会員の存在(100万人のプレミアム会員もいる)を魅力に感じたから
- EXITばかり増えても利益が上がらない
- EXITは一つでも、ビジネスモデルが確立していれば利益は大きい
- 大事なのは「コンテンツを大切にすること」「コンテンツの付加価値を高めること」
- 出版社がPFを直営するからこそできることは「コンテンツひとつひとつの価値を高める」「新しいコンテンツへの挑戦」「新しいマーケット、新しい顧客の創造」
- そのためにも「隣接権を獲得しよう」
- FIPPでは、雑誌のPFを作ろうと呼び掛けた(2008年)
- 今回は、出版社が隣接権を獲得することを呼びかけたい。
- 但し、権利には必ず義務が伴う。義務のないところに権利がない。だから、編集者の力が必要
基本的な内容は、「クラウド時代と<クール革命>」に書かれている内容。真新しさはそこまでない上に「結局、どんなコンテンツが必要なのかは言わないんだ!」というところがあった反面も、いくつか示唆にとんだ内容もありましら。それらについては、自らの考えも含め、次のエントリーで書くことにします。