生命保険のカラクリ/岩瀬大輔

 ネットライフ生命の岩瀬さんが生保業界について書いている本。以前読んだ同様のテーマの「生命保険の罠」が面白かったこと、自分自身そろそろ保険加入を検討しなければいけない時期であること、また、岩瀬さんの本であるという3つの理由で購入。

「ハーバードMBA留学記」が2004年〜2006年に学んだことのまとめだとすれば、今回の「生命保険のカラクリ」は2006年〜2009年に学んできたこと(の一部)を本にしたもので、自分のなかでは「留学記」の続編、とも言えるくらい力を入れて書いたものです。

 と岩瀬さんのブログに書かれている時点で良著に違いないだろうと期待していたのですが、実際、非常にわかりやすくまとめられておりました。具体的にわかりやすかったのは文章の構成。

  • 日常のリスクは「就業不能リスク」「病気事故による出費リスク」「長寿による生活リスク」「保有財産の毀損リスク」に分解される
  • 生命保険商品の機能は大きく分け、当該リスクに対するヘッジ策は「遺族補償(死亡保障)」「医療保障」「貯蓄・年金」の3つであり、

現在の保険商品はこれらの組み合わせで構成される。

  • 生命保険会社の収益源は「死差」「利差」「費差」に分解される。

 といったように、生命保険や保険会社を様々な視点から分解し、その上で各項目について解説がなされております。そのため、頭の中で内容の整理と理解が進みます。

 また、生命保険についてだけでなく、関連する高額療養費制度や遺族年金等、一般的にそこまで認知されていない公的な保険制度についても幅広く解説が加えられているのも好印象です。

 前述の「生命保険の罠」との違いは、「生命保険の罠」の議論が商品としての生命保険にフォーカスしていたのに対し、本書は、生命保険や生命保険会社について構造的に解き明かすことにフォーカスされているという違いはありますが、いずれも非常にためになる一冊でした。

 ぜひ、二冊あわせて読むことをおススメします。
 
 

生命保険の「罠」 (講談社+α新書)

生命保険の「罠」 (講談社+α新書)

生命保険のカラクリ (文春新書)

生命保険のカラクリ (文春新書)