まほろ駅前番外地/三浦しをん

 第135回直木賞受賞作である「まほろ駅前多田便利軒」の第二段が発売されていたので、思わず手に取ってしまい、先ほど読み終えました。(宮崎駿の推薦帯がついていた「神去なあなあ日常」も気になったのですが…)


 本作は、多田と行天の二人の便利屋、並びに、前作のサイドキャラクター達を中心とした日常を描いた7編の短編から構成された連作短編集となっております。

 「まほろ」という雑多な性質を持つ都市特有の「歪み」から発生する問題を解決する前作のストーリーに対し、本作では人々の日常が比較的淡々と語られていくストーリー展開が特徴的。

 特に個人的に好きだったのは、二人が子供のふりをして見舞いにいっている先のおばあさんが語る「思い出の銀幕」と、バスの間引きを疑う旦那をもつ夫人の葛藤を描いた「岡夫人は観察する」の二編。

 どちら温かい匂いがし、幸せや優しさというものを感じてしまう作品でした。

 一方で、最後の一編である「なごりの月」では、行天の更なる過去や、多田のロマンスの予感等、次の作品につながる予感がさせられる伏線も存在してます。

次回作も見逃せなさそうです。

まほろ駅前番外地

まほろ駅前番外地