読書:風の男白洲次郎/青柳恵介

 年初に読んだ「白州次郎 占領を背負った男 (上)(下)」のカウンターパートとして読んだ一冊。

本書は、麻生太郎首相の母親である麻生和子さんを中心とした方々が発起人となり生まれた出版物であり、白洲次郎さん本人の語録や各種文献、そして近しかった人々のインタビューを元に構成されています。

 描かれている事実やエピソードとしては、前述の「白州次郎 占領を背負った男」と大きくかわりはありません。ただし、その描かれ方は大きく違っています。

 「語録」を中心とし、それを補うためにインタビューや各種文献を参照するというスタイルが本書では採用されている分、その書き口は淡々としております。そのため、人によっては地味な印象をうけるかもしれません。

 ただ、以前も書いたように個人的には、伝記や評伝に大切なのは「客観的な事実の積み上げ」だと思っておりますので、本書は非常に読みやすい一冊であり、「カントリージャントルマン」として生きたプリンシプルの男の魅力が伝わるおススメの一冊でした。

 ちなみに、カントリージェントルマンという立は、たまたま先日読んだ「祖にして野だが卑ではない」の主人公である石田 禮助氏と重なるところがありました。イギリスとアメリカと場所は違えど、海外生活の長い明治人に共通した何かがそこにはあるのかもしれません。祖にして野だが卑ではないの内容については別途かければと思いますが、いろいろと考えさせられる偶然です。