書評:カレーライスの謎 なぜ日本中の食卓が虜になったのか/水野仁輔
東京カリ〜番長の調理主任である著者がカレーライスについて真面目に語る一冊です。前職でカリ〜番長の「裏番」と仲良くさせていただいた縁もあり、購入しました。
東京カリ~番長ならではの軽いテンションの本かと思って購入したのですが、予想と違い真面目にカレーライス論について書かれております。
- はじめに
- 第1章 カレーライスの正体
- 第2章 カレーライスの歴史
- 第3章 カレーライスの革命〜国民食への歩み〜
- 第4章 カレールウの謎
- 第5章 カレーライスの正体
- おわりに
という目次になっておりますが、個人的に興味深かったのは「カレールウ」に焦点をあてた第3章、カレーライスの革命。
本書では、「カレールウ」が日本の食卓にカレーを定着させたと主張されているのですが、本章ではその主張を裏付けるように、カレールウの発展が果たした役割について書かれております。
また、このカレールウの発展の過程は、マーケティングの教科書としても勉強になります。
従来大人向けの食事だったカレーを子供向け市場に展開させた「バーモンドカレー」、子供向けとの対抗軸としての大人向け・高級路線の「ゴールデンカレー」といった話や、「辛い」か「甘い」といったスパイシー二元論に対し、「コク」という軸を作り出した「熟カレー」等、カレールウの市場の変遷は非常に面白いです。
と同時に、最近は外食でしかカレーを食べていなかったことに気がつかされ、思わず家でカレーライスを作りたくなってしまいました。カレー好きなら読んでおいて損はない一冊です。ただし、レシピはついておりませんので、その点はご留意下さい。