フィッシュマンズ "A Piece Of Future"@日比谷野外音楽堂(レポート)

 5月3日に行ってきたフィッシュマンズの日比谷野音のレポを簡単に。

 セットリスト等の詳細なレポートはこちらにあるようなので、ここではごく個人的に思ったことを。

 まず、思ったのは復活ライブとなったRSR2005との違い。これは2曲目に永積タカシがMAGIC LOVEを歌ったときから感じたのだけれども、「地に足がついた」印象を受けました。

など、理由をあげることはできるのでしょうが、とにかく、野音でのフィッシュマンズの演奏は、使い込んだ革のような馴染んだ感触がしました。

 そして、一番強くその感覚を覚えたのは、七尾旅人がボーカルを努めるシーン。この日の七尾旅人は神がかっているとしか形容がない程に会場の空気にマッチしておりました。彼がメインボーカルを担当した「頼りない天使」「感謝(驚)」「ナイト クルージング」、どの楽曲も圧倒的なパワーをもってきこえてきました。

 他方、「やくしまるえつこ」も面白かったです。密かに彼女が「Baby Blue」を歌わないかなあと期待していたのですが、実際に聞いた楽曲は、「原曲とは違うけれども、でもこれもフィッシュマンズだよなあ」と思わせる期待以上のものでした。(*1)(*2)

 そして、なにより印象的だったのは、茂木欣一が心底、この空間を大切に思っているということ。ボーカル・演奏・MCのどのシーンを切り取っても、彼が本当に佐藤伸治フィッシュマンズのことが好きだということが素直に感じられ、それが見ている側にとっても自然と引き込まれていく力になっていたように思えました。

 本当に濃密で、心が満たされる三時間でした。

 *1 これに関しては、ヴァイオリンを担当したROVO勝井祐二も似たような印象を受けました。ROVOの音だなあと思いつつ、それがフィッシュマンズの楽曲に不思議にマッチしてました。

 *2 もっとも、彼女はアンコールの「チャンス」において、転校生のような居心地の悪さを醸し出していて、見ている側が心配になるという意味でも印象的でしたが。