ソーシャル・ネットワーク

 2011年一本目の映画はフェイスブックを題材とした「ソーシャル・ネットワーク

 2011年現在、500億ドルに達する同社が100万ユーザに達するまでの道のりについて、その過程の歪で発生した2つの訴訟を交え描かれております。

 鑑賞してまず思ったのが「わかるなあ」ということ。

 過去数年、従業員の立場と投資家の立場でベンチャービジネスに関わってきて感じたことと同様のエピソードが映画中では見え隠れします。

 その中でも個人的に興味深かったのは、やはり資本政策の部分。フロリダ州に設立したフェイスブック社の資本構成をデラウェア州で再登記した際に共同創業者のSaverinの株式をダイリューションさせたあたりのスキームが非常に気になりました。

 フロリダで設立した当時に30%だった持分が、デラウェア州で再登記した際に34.4%に増加したのにもかかわらず、VCが入ってきたラウンドの後に、 0.03%まで希釈化(ダイリューション)されてしまうというこのスキーム、Saverinが不意打ち的に取締役の立場も同時に下ろさせられたことも考慮すると、議決権のない種類株を交えて、表面上の株式数だけ増やしていたのかと思いますが、中々日本ではでてこないようなやり方で気になりました。(むしろ、あまり複雑なスキームを日本で使うと投資家等から嫌われてしまう場合もあるので、使いづらいというというところがあると思いますが)

 映画全体のトーンとしては、全体的に明るいトーンでもなく、決してベンチャーを賛美しているわけでもないのですが、上記の資本政策を含め、その後のストーリーが気になってしまう映画でした。

 このあたりは、「フェイスブック 若き天才の野望 5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた」でカバーするとしたいと思います。

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)