武士道エイティーン

 7月30日に発売された武士道エイティーンを読了。

 本作は、過去の2作(武士道シックスティーン、武士道セブンティーン)に比べ、主人公である香織と早苗の二人の描写が少なく、その分、名脇役的な存在のキャラクターについて章立てを分け描く形式を採用しています。(それぞれ半分ずつ、といったところ)


 正直、この試みは個人的にはマイナスに作用した印象があります。


 第一の理由は、メインストーリーが薄くなりすぎていること。一番盛り上がるはずの最終決戦とそれに至るまでのエピソードが短すぎる印象を受けました。(それこそ、甲子園にいくまでが長い野球漫画のような印象)


 もうひとつの理由は、各脇役のエピソードも消化不良気味に思えたこと。特に香織の師匠である桐谷先生のエピソードは、チームバチスタシリーズであるようなスピンオフ作品としても成立しそうな印象を受けただけに残念なところです。


 要は、人物一人ひとりの物描写だったり、剣道の描写というのは前作同様面白いけれども、「濃さ」という点でもの足りなさが残ったというような所です。

 一方で、読者として楽しみにさせられるのは、続編の存在。

 伏線が複数残っていたり、続きがありそうなエピローグだったり、というところがあるので、次作(ナインティーン編?それとも大学生編?)はこそは二人の主人公のより濃厚な武士道模様を期待したいと思います。

武士道エイティーン

武士道エイティーン