書評:ストロベリーナイト/誉田哲也

 1Q84を途中に挟んだりしておりましたが、ジウ以来、何冊か誉田哲也さんの作品を読みました。その中で、まずは出世作ともいえるストロベリーナイトについて。

 本作は、姫川玲子シリーズの第一作、警視庁捜査一課の女刑事「姫川玲子」が、周囲の刑事との対立や協力を経てとあるある猟奇的殺人事件を解決するストーリーです。

 個人的に感じた見所は2点、「個性的な刑事たちの主導権争い」と「猟奇的連続殺人事件に関する描写」です。

 前者に関していえば、敵対関係にある刑事や年上・年下の部下等、個性的な面々による丁々発止のやり取りが面白いです。とりわけ、敵対関係にある他の担当の係長である勝俣やなれなれしい所轄の刑事である井岡がいい味を出しており、主人公を生き生きと動かしております。

 また、後者について言えば、残酷シーンの描写が思わず目を背けたくなる程精緻に描かれております。正直、心臓に悪いくらいで、実際に読んでいて「うわっ」っと思わされます。

 そして、両方に共通するポイントが映像イメージが浮かびやすいこと。

 これは解説を書いている有隣堂の名物書店員である梅原さんも指摘していることですは、本作品を読んでいると自然に自分の頭の中で映像が組み立てられる感覚を覚えます。(余談ですが、彼が書いているPOPをまとめた良著「書店ポップ術―グッドセラーはこうして生まれる」では、誉田さんの小説についてのPOPが数多く紹介されています。)

 そういう意味では、別途紹介するつもりの「疾風ガール」と合わせ、ぜひ映像化されてもらいたい一作です。