ジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC)が第三者割当増資

 先日のエントリーでも触れたJDC社が第三者割当増資を発表しました。

三者割当増資の引き受け先の話などはよくわからないのですが、今回、面白いと思ったのは価格の決定について。

 一般的なルールとして、上場会社において取締役会決議にて行う第三者割当増資の発行価額は、株主保護の観点から直前日の株式の10%ディスカウント以内の価格とされております。一方、今回の増資の発行価額の2,900円は、直前日の41%ディスカウントであり、三ヶ月の終値平均の10%ディスカウントです。

 このことについてJDCの発表では以下のように記されております。



当社は、弁護士より発行価格の決定手続きが適法となる条件について、意見をいただきました。その上で、本増資の発行価格の決定にあたり、価格決定日直前日の市場価格を基準として選択するか、適当な期間の平均市場価格を基準として選択するかの判断は、売買高の状況を勘案した上でなされる発行会社で判断すべきであるとの意見を基にして、社内で討議し、価格基準を当社で判断いたしました。当社としては、当該発行価格は公正な価格であると考えます。また、当社監査役会は、本第三者割当増資の発行価格は、当社の置かれている状況から、割当先の意向を踏まえて決定せざるを得なかったことは理解でき、また、株式引受人に特に有利な金額による発行価額には該当しない旨の意見を表明しております。
 しかしながら、当社の既存株主にとりましては、本増資による希薄化を免れず、また、本増資の発行価格が直前日の時価4,900 円に対して41%ディスカウントした価格であり、乖離が大きいことから、本増資に対して、差止めを請求される可能性があります。

 上記のように、会社側も差止め請求のリスクを認識しておりますが、実際、もし今回の事案が法廷に持ち込まれた場合にはどのような判断が下されるのか興味深いです。個人的には、もし係争が起きた場合、裁判所が市場株価基準方式だけではなく、一株あたりの純資産等(平成21年3月31日現在96円・・・これから考えると妥当な株価のような気がしますが)、複数の材料を用いてその適正さを裁判所が判断するかどうかをみてみたいような事案であると考えております。

 個人的にはなぜCBではなく、新株なのかというところ等、判断に悩む事例ではありますが、非常に興味深い発表でした。