書評:僕たちいわばサラリーマンです。 竜平会 出世術のすべてがここに

 ダチョウ倶楽部の竜ちゃんを中心とした芸能界の「飲み会集団」、竜平会。元U-turn「土田」、「劇団ひとり」、元猿岩石吉」、デンジャラスといった主力メンバーの多くは一時期テレビにあまりでられないような不遇の時代をすごしておりました。ただ、現在、数々のバラエティー番組で誰かが出演しているような状況になっております。

 本書は、ダチョウ倶楽部のリーダーと竜ちゃんや、「復活した」メンバーを会社組織のメンバーになぞらえ、どのように行動したら組織の中で生き残れるかということを各人へのインタビューを通じ語っております。

 いわゆるタレント本だと思ったら大間違い。まず、内容がタレント本のレベルではない程に濃いです。9人のインタビュー内容が約20ページずつまとめられているのですが、一度に2・3人のエピソードを読むだけで(笑い)疲れます。

  とりわけ、土田晃之が語るエピソードは非常に面白過ぎます。伝説のようなエピソードにあふれる竜ちゃんの人格・すごさについての分析や竜平会のあり方、会における立ち振るまい方は、論理的であり、感心させられます。

 その中で特に、印象に残ったのはP38で「芸人・上島竜平」のすごさ。


有吉にしても劇団ひとりにしても、上島よりは才能も面白さもある人たちなんだけど、でもみんな上島の下につくじゃないですか。そこがあの人の人望っていうか、神に近いところですね。細かい技術だったら、あの人に負けないだろうけど、”芸人”としての大きなまとまりでいうと、「この人に勝てないかな?」って思う。

 ほとんどの内容がツッコミでしまられる中で、本能的に感じられている部分だと思うのですが、中々考えさせられる内容です。

 その他、有吉が竜平会に入り込むためにやった上島と肥後のニーズにあわせた作戦も必見です。特に破天荒な芸人を好む肥後の心をつかむために行った作戦はサラリーマンの鑑ともいえるかもしれません。

 タイトルはタレント本ですが、変なビジネス書よりもよっぽどためになる一冊でした。

 ただし、電車の中では笑って読めないのと、会社で読むと遊んでいるように思われるので注意が必要ですが。