映画:少年メリケンサック@東京国際映画祭

 東京国際映画祭TIFF)で先行上映されていた少年メリケンサックをみてきました。来年2月公開予定の宮藤官九郎監督作品ですが、まずは簡単にストーリーを。

 音楽レーベルで新人発掘を担当するダメ契約社員のかんな(宮崎あおい)はある日、mixiに張られていた少年メリケンサックという名前のパンクバンドの映像を発見し、レーベルの社長(ユースケ・サンタマリア)に報告し、社長は彼らを気に入り、スカウトし、アルバムを一枚制作するようにかんなに命じます。

 かんなは彼らにアポイントをとりますが、実はその映像は25年前のもので、バンドメンバーは50近いオッサンになってしまっており、また、メンバーは離れ離れや車椅子生活になってしまっている等、ありえない状態であることが判明します。

 その一方、HPに張られた25年前の映像は大人気。そのため、社長からは全国ツアーをやるようにという指令が下されました。「ありえない」と思いつつ、カンナは自身の契約期間の延長のため、そして佐藤浩一演じるベーシスト・アキオ役の不思議な説得力をもつ言葉を信じ、乗りかかった船で全国ツアーに乗り出すことになり、ドタバタ劇と人間ドラマがはじまります。

 感想としては、クドカン流のバンドとロックに対する愛情が伝わってくる作品でした。自らグループ魂というコミックロックバンドで活動しているということもあるかもしれませんが、ロックの楽しさやバカバカしさに敬意を払っているのが伝わってきました。

 また、俳優陣の演技がすばらしい。佐藤浩一や木村祐一といったメリケンサックのメンバーはもちろんですが、エキセントリックなオッサンバンドのパワーに負けじとパワフルに行動する宮崎あおいのコメディエンヌとしての演技は特筆に価します。確実に笑えます。(個人的にはちょこちょこ出てくるピエール瀧がツボにはまりそうでしたが)

 脚本としては、良くも悪くも一部「流した」という点がみうけられたり、また作品自身も必ずしも間口が広い一般的なものではないかもしれませんが、音楽好きなら必ず楽しめる一作だと思います。

 公開は2月とのことですが、Youtubeには色々と予告編があがっていて、これをみるだけでも楽しくなりますので、こちらもオススメです。