書評:凡人として生きるということ/押井守
アニメーション絡みの新書の書評をもう一冊。
攻殻機動隊等のアニメーション監督である著者による社会論や人生論がまとめられている一冊ですが、ここまでイマイチな新書は久しぶりに読みました。正直に「ひどい」です。
もっと言うと、編集者のスキルがひどいです。
そう思わせる一番の理由は、誰に何を伝えたい本なのか全くわからないこと。若者向けのメッセージだったり大人向けへのメッセージだったりとターゲットとする層の軸がぶれている上に、その両者に対し同じような口調で論を説くために違和感を覚えざるを得ません。
しかも、この傾向が第一章の時点で現れているのが致命的。
出版時期からいってスカイクロラのターゲット層である若者に対してのメッセージだとは思うのですが、若者に対し「若者達」と語りかけるなど、メッセージとして違和感を覚えます。
編集者が指摘しなかったのか、著者が納得しなかったのかわかりませんが、いずれにせよ、この状態で出版してしまったことは編集者の「スキル」に問題があると思わざるを得ません。
個人的には第三章の「勝敗論」は非常によ面白かったのですが、残念ながら第一章の時点で「なんだかなー」と思ってしまっていたので、それすら割り引かれた印象を覚えます。
当面、幻冬舎の書籍、少なくとも新書を購入することはないでしょう。