書評:事業再生プロフェッショナル/清水輝幸

 現役コンサルタントの著者が自らの経験をベースにした物語を通じ、事業再生の現場とノウハウについて解説している一冊です。

 物語の舞台は営業赤字に陥ってしまった老舗陶磁器メーカー。企業存続のためにも改革が求められる中、コンサルタントと経営者、社内リーダーが悪戦苦闘しながら、半年間で事業を黒字転換させるというストーリーが展開されていきます。

 物語の展開や事業再生を実現させるためのノウハウやマインドは、過去に紹介させていただいている三枝さんの本と非常に似ております。たまたま似たのか、普遍的なものだから似ているのかは個人の判断に任せる部分だと思いますが、三枝さんの本を読んだ上で、真新しい考え方を取り入れたいと言う方にはあまりオススメできません。 

 ただ、担当者との、数字を使ったやり取りに関するノウハウは勉強になります各PJやその中のテーマごとに数字を精緻にブレークダウンさせ、数字に責任を持たせる目標管理手法は、実地でもいかせそうな印象をうけました。おそらく著者の清水さんはこのあたりが一番得意な分野なのではないかと思われました。

 個人的には事業再生系の本を読む目的は2つあります。プロジェクトを本格化させる前にテンションを上げるのと、ノウハウの一部を参考にするというのはその目的なのですが、そういった点で本書には後者の点で役に立ちそうなノウハウがあったので、読む価値はあったと思います。