書評:やわらか戦車流 Web2.0発エンタメ・ビジネス戦記/やわらか戦車連合軍

 やわらか戦車自体は知っていたものの、キャラクタービジネスの視点からは考えたことがなかったので、勉強のためにもと思い購入した一冊。

 通常、Webから生まれたキャラクターライセンスビジネスという時点で、「CGMモデルね、時代っぽいよね」と安易なまとめ方をされる一方で、ビジネスとしてはあまり成り立ってなさそうな印象を受けてしまうのですが、本書を読むと、既存のキャラクタービジネスとの間で上手い距離感をとることにより、一定のビジネスの創出に成功したのではという印象を受けました。

 もっとも、純粋なビジネスについては、本書において具体的な「お金」の額が示されていないので、実際どうだったのかといわれると分からない所もありますし、wikipediaの記述を見ると目標としていた10億円という目標に達するのは厳しいという見方があると、ビジネスとしては否定的に書かれていたりします。

 実際、10億円という数字がキャラクタービジネスの規模として大きいかといわれると微妙な所はあるかもしれません。(メインターゲットがキャラクターグッズのインターネットユーザとしては十分に大きいと個人的には思いますが)

 ただ、単純な売上の多寡以上に「個人クリエイターが発信元となるビジネス」「インターネットと既存ビジネスの融合」という2つの点において、十分に価値のあるプロジェクトだったのではないかと感じました。

 インターネットとリアルビジネスの接点を考える上で勉強になる一冊でした。