ドリコムの楽天との資本提携

 元記事:ドリコム、楽天と資本業務提携--第三者割当で新株発行も(CNET)

 ベンチャーキャピタリストの一人としてこのニュースについて触れないのもと思ったので、少しだけ書くことにします。

 まず、ニュースを聞いた時に思い出したのは、サイバーエージェントの藤田さんが書いた「渋谷で働く社長の告白」のエピソード。

 上場後、ネットバブルの崩壊に加え、当時サイバーエージェントの業績が振るわなかったこともあり、GMOの熊谷さんから社長を退くように等、強烈なプレッシャーを受けていた藤田さんを助けたのは三木谷さんだったというエピソードがありました。

 当事者ではないのでわかりませんが、今回、ドリコムに対する支援についても状況を比較するとそのように思えます。

 表向きは行動ターゲッティング広告の強化とありますが、実際はGreeCFOである青柳さんのブログにあるとおり、「上手くいかず困っている若い経営陣を助けつつ、会社としての組織力を強化する」という所でしょう。

 行動ターゲッティング広告という点では、十分な顧客DBをもっている楽天であればドリコムの手を借りず構築できると思います。加え、おそらく楽天自身が必要としている広告は、ドリコムがスペースハンターや新サービスでやろうとして考えていると思われるアドネットワーク構築型ではなく、むしろ、Amazon型のレコメンデーション型のシステムでしょうし。

 さらに言えば、未発表なので詳細は書いてはいけないと思いますが、昨年の11月にデモンストレーションを宮崎で行われたInfinity Ventures Summitでみたことも、上記の見方を強めたりもしているわけですが、(仕組みが想像できた&ビジネスモデルとしてドリコムが行うには欠点があるだろうというのが個人的な見解でした。)いずれにせよ、今回の提携で楽天は再び男をあげたのではないでしょうか?

 もっとも、上記のような支援は楽天がおこなうよりはサイバーエージェントが行った方が、浪花節が好きな人間としてはドラマチックだと思えたのですが。そもそもサイバーエージェント自体、ドリコム株でかなりの利益を上げていたはずですし。

 何はともあれ、ITベンチャーのエキスパートである楽天が支援することでドリコムがどう変わるのか、注目でしょう。