書評:あぁ、阪神タイガース −負ける理由、勝つ理由/野村克也

 巨人軍論に続いて、野村監督の阪神論。内容としては大きく3つ。

  • 阪神が弱かった「ファン」「メディア」「フロント」「選手」の4つの原因
  • 阪神の監督時代の体験談
  • 星野監督、岡田監督を通じ、阪神は変わったか?

 やはり、自身が体験された苦労であるだけに説得力があります。(その分グチっぽいですが)特に面白かったのは、自身が阪神で上手く行かなかった理由と星野監督との比較の部分。

 上手くいかなかった理由を「外部環境(上記4つの要素)「自分自身の『あきらめ』、自身との戦いの敗北」と大きく位置づけたうえで、星野監督が自身よりも優れていた物事を「鉄拳(=怖さ)」「人脈」と分析しております。

 後者に関して、補強に対しての対応という面で如実に現れたあります。要約してしまうと、

野村監督=「エースと四番は育たないから補強してくれ」

星野監督「(エースと4番として)誰と誰が欲しい、で、いくらかければ獲得できる(ように調整した)から獲得させて欲しい」

 といった違いです。思わず、なるほど、と。上司に進言するような場合やクライアントを説得するような場合と同じだと感じたのですが、相手の思考も考えた上で先読みし、実行する能力の大切さを考えさせられます。

 電車の中でさらっと読むタイプの本ですが、阪神ファン、野村ファン以外の人が読んでも面白い一冊でした。