書評:「社会を変える」を仕事にする/駒崎弘樹

 「反転」とは打って変わっての一冊。2007年7月にNewsweek日本版において「世界を変える社会企業家100人」にも選出されたNPO法人フローレンスの代表である著者(*)が、ITベンチャー企業の経営者の座を捨ていかにして社会企業家の道に飛び込んだのか、またどのように悪戦苦闘をし「病児保育サービス」を立ち上げ、周囲の人間を巻き込み「社会を変えていく」のに貢献してきたのかについて描かれています。

*BLOGもされています:Days like thankful monologue

 「マイクロソフトでは出会えなかった天職」を読んだことで、ボランティアではない「社会企業家」という仕事を知ったのですが、(正直、知るの遅すぎです…勉強不足にも程があります)日本でもこうやってビジネスと社会福祉を両立させている人がいることを知り、驚かされました。

 さらに著者の駒崎さんは自分と同学年!正直、同じ年齢の人間がここまでの情熱と行動力を持ち、自らをさらけ出すことで、多くのメンターとなる人と出会い、さらには周囲を巻き込んでいったかということは大いに考えさせられます。

 もちろん「病児保育」の問題自身あまり良く知らず、だからこそ余計に考えさせられたなったというのもありますが、何よりもさらけ出しながら前に出る、そして世の中を変えていく、その姿勢に完全にやられてしまいました。

 正直、書籍のスタイルとしては2つの欠点があります。具体的には「文字を大きくするなどのよけいな装飾」「1400円という価格設定」がそれです。前者は、照れ隠しの要素もあるかもしれないのですが、余計な装飾はいらないという点、後者は、高校生がお小遣いで買いやすい値段(1,000円未満、もしくは新書)だったらというのがその理由です。

 特に後者は「自分が高校生だったら絶対に読みたい、読むことができたら何かが変わったかもしれない」と思える程なので、残念で仕方ありません。

 ただ、そういった欠点も関係ないくらい、刺激を受けた一冊。心からオススメしますし、自分でも何か、社会のために自分ができることをしたいという気にさせられます。…ということで、本書でも紹介されていた違うNPO法人のパンフレットを取り寄せてしまいました。