書評:サブプライム問題とは何か/春山昇華

 サブプライム問題についてニュースなどを見てなんとなくは知っていたけれども、もう少し基本的な知識を得ようと思って購入した一冊です。

 「一般の住宅ローンの借り手として対象外(低所得、破産暦など)向けのローンで、信用度が低い分、利率が高い。また、始めの数年は利率が安く、途中から利率が高くなるようなローン」というニュース番組で説明される表面部分だけで理解していてはいけなかった、ということもさることながら、金融全般についてのリテラシーの必要性を考える必要性を改めて感じさせられました。

 本書において著者はサブプライム問題の原因を以下の4つに大きく分類しており、各事象についての詳細説明と、相関関係について、具体的な数字や事例を交えながら説明することで、問題点を分析しております。

  • 略奪的貸付
  • 住宅バブル
  • 金融技術の発展
  • 世界の余剰資金

 また本書で勉強になったのは、この四つの原因は決して独立したものではなく、「風が吹けば桶屋が儲かる」というような密接な関係にあったということ。

 また、その中でもアメリカにおける住宅バブルの崩壊による個人破産者の増加という問題が、住宅ローンの証券化、商品化により、世界的な影響を及ぼしてしまうようになっていることから、高度に金融技術が発展しているということを実感させられます。(著者がP150でいうように、それこそが本質だろうと感じさせられます。)

 そして、思ったのは、個別の事象もさることながら、「金融技術が高度化されるにつれ、世間と業界の金融リテラシーの差が非常に大きくなっている」ということ。個人の住宅ローンといった債権までも証券化されていく形で発展する金融世界、一般消費者は、住宅バブルに踊り、自転車操業的に借り入れを行い、返済が不能になる一般消費者という構図を見ると、汗をかいて稼ぐお金の大事さはわかるけれども、金融についての知識とポリシーをもたなければ生きていけない時代になるのは不可避だと思わされます。