東のエデン 劇場版I The King of Eden@テアトル新宿

 仕事帰りに、劇場版の東のエデンの前編を見に行ってきました。

 二部構成に分かれている前作は、フジテレビのノイタミナ枠で放送されたテレビシリーズの半年後の世界を描いた作品。

 「この国の王にしてくれ」と依頼をした後に姿を消した主人公の滝沢朗をヒロインの森美咲が探すシーンから物語はスタートし、物語の核心に入るところで後編に続きます。

 見終わっての感想は「壮大な予告編」の一言。さらにいえば、テレビシリーズ自体が壮大な予告編だということ。世界のバックグラウンドについてのおさらいがないので、テレビシリーズや小説版も読んでいないと話に付いていけないと思われます。

 一方で、本作品が面白いのはそのビジネスモデル。

 空の境界以来ポピュラーになってきている単館系の劇場をメインウィンドウにしたアニメビジネスとテレビシリーズの「延長戦」としての映画ビジネスが融合されたビジネスモデルは非常に興味深いです。

 まず、このビジネスモデルは劇場にとってメリットが有ります。具体的には、1館あたりの収入が大きいこと。例えば、本作の最初の2日間の1館あたりの収入は247万円です。これは、先週末公開されたカールじいさんの空飛ぶ家に比べ実に2倍以上です。劇場のサイズが小さいことを考慮すると、確実に座席が埋まっていることがわかります。(もうひとつのメリットとして成人向けアニメ映画はリピート率が高いというのもあるのですが、定量的なデータが手元にないので、おまけの要素としておきます)

 一方で、アニメ製作サイドにおいてはテレビの枠代が要らないというメリットがあります。当然のことながら、これにより、リクープラインが低くなります。その反面、必ずしもうれしくない立場とされるテレビ局と広告代理店(今回は、フジテレビと電通)にとっても、テレビシリーズをやる前提で展開されてますので、その分の収入は確保されているわけです。

 そういった点で、コンテンツ自体が面白くないと観客も入らないし、メインのリクープ手段であるDVDやBDも売れないわけという前提はありますが、ビジネスモデルとして考えられた仕組みだと感心させられます。

 そういった点で、3月の完結編の内容もさることながら、今後に同様のビジネスモデルがでてような成功モデルになるかの両面において注目の作品です。

 ちなみに、平日の夜にも関わらず、劇場で通信会社時代の後輩にバッタリ遭遇しました。50名入っていたかどうかなのに、世の中狭いもんです。