ソウルケイジ/誉田哲也

 ストロベリーナイトに次ぐ姫川玲子シリーズ第二弾が文庫化されていたので、購入・読了。

 連続する猟奇殺人事件という事件を中心とした前作に対し、本作は姫川玲子と日下部の対立した考え方をする2人の刑事や、事件に関係する登場人物の思考・行動に軸足が置かれております。(そういった点では残虐なシーンが少ないので、読みやすかったです)

 また、ひとつの殺人事件からいくつもの秘密の過去が次第に明らかになっていく様子は「誘拐児」に似ていると思われました。

 そんな本作を読み終わっての印象は、「面白いは面白いけれども、惜しい」といった所。DNA鑑定の裏をつくという発想は非常に斬新であったけれども、それ以前に話の核心となるオチが二人の刑事よりも早くわかってしまったのがもったいない。(この裏をつく発想は個人的には大好きで、「アヒルと鴨のコインロッカー」や「容疑者Xの献身」の仕掛けには唸らされました。)

 また、ツッコミが甘い伏線がそのまま後で生きてくるという「都合のいい偶然」が複数存在していたのも「惜しい」印象を強めてました。

 さらに言えば、タイトルの持つダブルミーニング(もっとも、これがダブルミーニングだとわかったのは後書きを読んでからですが)や一人ひとりの行動描写が上手い分、上記の甘さが残念な印象を強めてしまったかもしれません。

 

ソウルケイジ

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