その数学が戦略を決める/イアン・エアーズ

 数々のデータ分析に基づき、意思決定や政策提言等を行ってきた著者が、データ分析を駆使した「絶対計算」を通じ、問題解決を図ることの重要性を説いた本。

 まず、前半部分では、経験や勘に頼った従来の「専門家」による意思決定よりもデータを駆使した意思決定のほうが優れているということを、ワインの品質の予想から政策決定までの幅広い事例を用いて論説しております。

 個人的にも上記の流れはあるべき姿と考えておりますし、将来的に専門家(人間)の役割が「仮説の立案」に変わってくるというのも非常に納得できる内容。(もっとも、AIが高い学習能力を持てば、その仮説の立案すら人間の手から離れてしまうのかもしれませんが)

 一方の後半では、事前に必要なデータ分析を行うことで、よりベターな判断が可能となるということを、2SDやベイズ検定といったツールの紹介を含めて説明がなされております。

 全編を通じた論説がわかりやすく、また各章の終わりにまとめが書かれているので非常に頭に残りやすい内容。もう少し統計学について学習してみようかと思わされる(事実、統計学入門を購入してしまいました)良著でした。

その数学が戦略を決める

その数学が戦略を決める