この二週間に読んだ書籍

 飛行機での旅行は読書のチャンスということで、今年のRSRの前後で読み終わった書籍は以下の3冊

 ガイアの夜明けの文庫本は出版される度に購入しているので、今回もというところ。経済状況が悪化している時期の放送をまとめた書籍だけに決して明るい話題が多いわけではないなかで、ビジネスの工夫で収益を伸ばそうとするエピソードがやはり印象に残った。とりわけ、「生活を変える”冷凍技術”」「台頭するPB商品」「巨象に立ち向かえ」の3編が個人的に非常に興味をひかれました。

 二冊目の書籍のタイトルにある宿澤広朗氏はラグビーの日本代表監督としてW杯での初勝利などの実績を持つ一方、SMBCで専務執行役員にまで上り詰めた方。本書は2006年に急逝した彼の半生を追った単行本の文庫化ですが、長期間の関係性に基づく丁寧な取材にもとづいて構成されており、宿澤氏の人となりがよく伝わる一冊でした。やや、贔屓目に書かれている印象も受けますが、その印象を差し引いても彼の功績には感嘆してしまいますし、その発想は勉強になります。

 最後の一冊は、誉田哲也氏の初期時代の一作。携帯電話代が無料になるというプロバイダー2mb.netに登録した高校生達が「ネットの悪意」によってトラブルに巻き込まれるという内容。インターネットの持つ「悪意」「擬似匿名性」といったものに対する脅威を見事なアナロジーを用いて描いています。相途中のスリリングな展開に比してクライマックスがやや尻つぼみに終わった感はありますが、今現在の高校生を取り巻くモバイル環境を予期していたかのような内容を6年前に描いていたことに驚かされます。(6年前にはプロフはおろか、SNSですらなかった時代なのに・・・魔法のiランドや出会い系はありましたが。)

 どの本もそれぞれ読み応えがある書籍でした。

全戦全勝の哲学 宿澤広朗 勝つことのみが善である (文春文庫)

全戦全勝の哲学 宿澤広朗 勝つことのみが善である (文春文庫)

アクセス (新潮文庫)

アクセス (新潮文庫)