書評:1Q84/村上春樹

 一週間ほど前に、村上春樹の新刊、1Q84を読み終えました。

 あることをきっかけに月が二つある並行世界に迷い込んだ二人の主人公「青豆」と「天吾」にによるカットバック形式の物語。

 物語の展開は村上春樹の長編小説の定番といった感じであり、過去の様々な長編小説を彷彿とさせるエッセンスがちりばめられております。そういった意味では目新しさはなく、むしろ安心して村上春樹の世界に浸かる感覚を覚えます。

 ただ、過去の作品に比べ、社会に対する向き合い方が違う印象を受けました。ひとつの象徴的な例が宗教であり、DVであり、情報社会であったりしますが、こういったテーマに対し一定以上のコミットが感じられ、また、意外に感じさせられました。

 ただ、そういったテーマ性を持たせることは、4月に発売されたモンキービジネスで特集されている村上春樹のインタビューにおいて書かれていた「挑戦」であり、「実験」だったのかと思えました。

 著者自身が発売されるまで書籍の内容を秘密にしていたことを思うと具体的な内容を書くことは憚られますが、結論としては、変化している部分もしていない部分も合わせて非常に読み応えのある作品でした。

 

   


 一週間ほど前に、村上春樹の新刊、1Q84を読み終えました。

 あることをきっかけに月が二つある並行世界に迷い込んだ二人の主人公「青豆」と「天吾」にによるカットバック形式の物語。

 物語の展開は村上春樹の長編小説の定番といった感じであり、過去の様々な長編小説を彷彿とさせるエッセンスがちりばめられております。そういった意味では目新しさはなく、むしろ安心して村上春樹の世界に浸かる感覚を覚えます。

 ただ、過去の作品に比べ、社会に対する向き合い方が違う印象を受けました。ひとつの象徴的な例が宗教であり、DVであり、情報社会であったりしますが、こういったテーマに対し一定以上のコミットが感じられ、また、意外に感じさせられました。

 ただ、そういったテーマ性を持たせることは、4月に発売されたモンキービジネスで特集されている村上春樹のインタビューにおいて書かれていた「挑戦」であり、「実験」だったのかと思えました。

 著者自身が発売されるまで書籍の内容を秘密にしていたことを思うと具体的な内容を書くことは憚られますが、結論としては、変化している部分もしていない部分も合わせて非常に読み応えのある作品でした。