書評:1月2日までに読んだ本

 年末から1月2日まで間に以下の5タイトル6冊の本を読みました。

  • 白州次郎(上)(下)
  • デューデリジェンスのプロが教える企業分析力養成講座
  • ジョブズ VS 松下幸之助
  • TENGU
  • 趣都の誕生 萌える都市アキハバラ

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     この中で一番面白かったのは、TENGU。本作は若手時代に遭遇した群馬県で26年前に発生した連続殺人事件の真相をベテラン記者が調べるというサスペンス。現在と事件当時をカットバック形式で描写し、真相に迫っていくというストーリーですが、謎の生物であるTENGUの正体が気になって仕方がない一作です。個人的に想像してたTENGUとは異なっておりましたが、十二分に楽しめました。著者の違う作品も是非読んでみようと思います。

     次に良かったのは、「デューデリジェンスのプロが教える企業分析力養成講座」。本作については利用されているフレームワークが面白く、実務に使えるかもしれない印象を受けたのがその理由。アドバイザリーとしての豊富な経験に裏づけされたフレームワークはなるほどと思わされます。これについては、別途エントリーにてまとめようと思います。

     一方残念な内容だったのは「白州次郎」と「ジョブス VS 松下幸之助」の2タイトル。

     前者については、題材である白州次郎についてではなく、書籍としての出来が残念でした。具体的には、著者の視点が一定になっていない上、著者の一方的な感想や知識の押し付けが垣間見られる所が見られていたこと、なかでも、後者が読み手にとって鼻につく印象でした。

     個人的に伝記や評伝に大切なのは「客観的な事実の積み上げ」であり、その積み上げを通じ主人公の業績なり人柄を示していくべきだと思っております。(もちろん、大前提として「丁寧な情報収集」が必要ですが。)

     それに対し、「格好いい男だ」といった記述を随所に見せることで、主人公をアピールする本書の構成に首を傾げてしまいました。(Amazonを見ると同様の感想を思った方も数名いるようですが。)

     ただ、第二次大戦後の復興における大役を担った「信念の人」の人生模様については興味がわきましたので、他の書籍を通じて知識を習得したいと思います。

     後者については、松下幸之助さんに関する本を読んだことがないなあと思って購入したのですが、一言で言うと、「内容が薄い」という印象です。別途、松下さんに関する本は購入しなければいけないなあと思いましたが、ジョブスの部分については、既に他の書籍で得ている知識以上のものはないというのが正直なところ。始めからそれぞれの人についての本を読めば十分です。

     ただ、どちらの本も他に読む本のテーマが見つかったという点では悪くなかったかもしれません。