書評:ナイチンゲールの沈黙/海堂尊
チームバチスタの栄光シリーズの第二作目。舞台は東城大学医学部付属病院の小児科病棟。眼球に発生する癌「レティノブラストーマ」に犯され、眼球の摘出をしなければいけない二人の子供を担当する看護士の浜田小夜が今回の主人公。
ストーリーは主に3つのステージにわけられます。
- 眼球を摘出する2人についてのバックグラウンド及び、不定愁訴外来の受診
- 2人のうち1人の父親が殺害された事件に関する捜査
- 小夜の歌声が持つ不思議な能力についての検証
ストーリーはというと、展開が安っぽいステレオタイプだなあというのが感想。(具体的に書くとネタバレになってしまう部分もありますが、白血病の美少女にまつわるエピソードとかは20年前の少女漫画にでてきそうなエピソードです。)チームバチスタに比べると正直、かなり劣っているというのが個人的な印象です。実際、Amazonのレビューの平均点を見ると、チームバチスタや第三弾のジェネラル・ルージュの凱旋に比べても低くなっているので、同様の印象を受けるのは自分だけではないと思います。(ジェネラル・ルージュはこれから読むところなので、個人的な評価はまだできませんが…)
ただ、前作同様、厄介ごとに巻き込まれる田口や前作から登場している"ロジカル・モンスター"白鳥や藤原看護士、近作から登場した警察庁の警視正加納といった個性あふれるメンバーのやり取りは安心して読むことが出来ます。このあたりはシリーズ作品の素晴らしい所で、一定の満足感を得ることが出来ます。
前作を含め、シリーズを楽しみたいという方にとってはオススメできる一冊です。