書評:陽気なギャングの日常と襲撃/伊坂幸太郎

 仕事がらみのビジネス書を読む中、箸休めのような形で読んだ一冊。陽気なギャングが世界を回すの続編です。今回のメインの物語は銀行強盗ではなく、誘拐された社長令嬢を救い出す話です。

 前作を読んでいないと4人のギャングの特徴は掴みきれない部分がありますし、やはり先日本屋大賞を受賞したゴールデンスランバーのような対策に比べるとストーリーの重厚さには物足りない部分があります。加え、死神の精度やチルドレンといった読後感にも欠けるのも事実。

 ストーリーは小気味よいテンポで進みますし、ストーリーのあちこちに張り巡らされた伏線はやはり上手いんです。ただ、個人的な意見としては伊坂幸太郎にしては物足りないのも事実。

 そういった意味で、「面白いけど、物足りないと思ったら、違う作品も読んでみてくれ。もっと面白いから」といいたくなる一冊です。

 電車の中で読む娯楽小説としては十分満足なんですが、伊坂作品としては満足しきれないというところでしょうか。