対談:「ギーク」「スーツ」の成功方程式(月刊アスキー)

 今月発売の月刊アスキーで中島聡さんと梅田望夫さんの特別対談がありました。

 基本的な内容としては、いかにして技術とビジネスを共存させるかという内容。日米のエンジニア気質のの違い等は今までも言われている通りですが、面白かった点としては、「ハードウェア産業」と「ソフトウェア産業」で分類している部分。

 トヨタカンバン方式を例に、製造業やハードウェアの領域においては、ビジネスとテクノロジーを両立する中間層が居るのに対し、ソフトウェアの世界にはそういった中間層が存在していないというのが日本の現状であり、問題の根源ではないかという論です。

 この原因としては、

  • ソフトウェア業界自身が若い産業であり十分な中間層が育っていない
  • ソフトウェア市場の市場規模が小さく、プログラマとして一生食べるのが難しい(管理職にならなければいけない)

 といったことが言われております。(後者の市場規模が限られているという部分では、ハードウェアに比べソフトウェアの法が言語に依存する部分が相対的に大きく、グローバル展開が難しいということもあるでしょう。)

 で、この問題の解決方法は正直難しい部分もあると思うのですが、その一つの解決方法が、対談のなかで、中島さんが述べていた「ゲイツ・クローン」なのかもしれないと感じました。

 ビジネスのことを熟知しなければいけないエンジニアを組織的に設け、給料やストックオプション等を高いレベルで渡していたというマイクロソフトのやり方は、一つのあり方として学ぶべき所がありそうです。

 その他、日米における「スーツ」と「ギーク」の定義の違いについても思わされることがありました。日本では対立が前提となっているビジネスサイドの「スーツ」と技術者の「ギーク」ですが、結局のところ、日本では、高校生時代の「文系・理系」の区別を超えたキャリアプランを築くようなことが難しいことが元凶になっている気がしました。

 高校生の時に選んだ進路に従ってキャリアプランが決定され、それに伴い付き合う人種もある程度固定化され、違う考え方、発想をする人種に対しての不信がつのっていくというスパイラルになってしまっているということですが、考えさせられる話です。(高校生の時に人生のルートがある程度決まってしまうなんて、今思うとどうしようもない話ですが…。)

 と思うと同時に、対談のフルバージョンが収録されているという中島さんの書籍は買わなければとも思わされるいい意味で思わせぶりな内容でした。