毎日jp:旭山動物園:今春から市民以外の入園料値上げ

 旭山動物園が市民以外の入園料を値上げするニュースを見て、ビジネスと公共性のバランスがとれた非常に正しい戦略だなあと思いました。

参考:旭山動物園:今春から市民以外の入園料値上げ、800円に - 毎日jp(毎日新聞)

 理由としては

  • 580円の入場料は、他のレジャーに比べ、そもそも安い。(特に時間をかけてくる人間は余計安く感じる可能性が高い)
  • 市民のレクレーション施設としての存在意義を確保する。
  • パスポートを購入するリピーターや市民の料金を大事にすることで、安定した入園数を確保し、「賑わい感」を演出する

 といったあたりが考えられるのですが、 要は、観光で来る人にとって旭山動物園が800円以上の価値を見出せる場所だということです。(満足度を考慮すると、その倍でも個人的には構わないと思います。)

 ちなみに、この値上げがどの位のインパクトを与えるか少し考えてみました。

 まず、旭川市のHPから、2006年度の旭山動物園の収支を調べてみました。すると収入が20億9900万円に対し、支出が18億1300万円で、2億8600万の黒字です。(ちなみに、2005年度は12億6500万の収入、11億9500万円の支出)

 次に、旭山動物園のHPで2006年度の入場者数を調べます。この年の来園数を調べると有料者が241万7569人で、無料(中学生以下、市内在住の70歳以上の人等)が62万3081人です。(この数字は2007年度も維持できる可能性が高いです。また、2005年度は、有料が155万1770人で無料が51万5914名です。)

 と、ここで、残念ながら、入場券種別の比率と、収入の詳細な比率(物販、寄付金等)、並びに団体客への対応がわからないので正確な値が出せないことが分かりました。

 仕方がないので、入場者の9割以上が市民以外という記事を参考に、9割の方が市外から来たとしましょう。で、団体の人も同金額の値上げ(220円の値上げで700円にする)と考えましょう。

 すると、入場者数が減らないと、パスポート率が2割の場合で約3億8000万円、4割の場合でも2億8700万円の収入増が期待できるわけです。(記事によると250万人に入場者が減少した場合でも3億円の増収が見込めるとありますので、パスポート率は25%~30%程度と推測されます *1)

*1 250万人の入場者数のうち、有料は190〜200万人程度と推測され、うち140万に対して220円の値上げを行うと3億800万円収入増が期待できるから、入場減による物販費の減少を差し引いてもという大雑把な計算です。)

 単純に20億円の収入が24億円以上になり支出が18億のままであれば、実に利益は倍になるので、非常に有益な戦略ではないでしょうか?

 個人的には物販の充実も期待したいのですが、(正直、物販が充実していなかったので…。)物販に比べ、リスクがなくほぼ確実に収入増が期待できるということで、さすがだなあと思わされるとともに、今年の夏位に、また行きたいと思ってしまいました。

参考:過去の旭山動物園関連の記事