カールじいさんの空飛ぶ家(3D)@TOHOシネマズ六本木

「愛する妻が死にました−だから私は旅に出ます。」というキャッチフレーズの時点でこれはマズイと思いハンカチを用意して劇場に行きましたが大正解。


これで感動しなかったら何で感動するの?という程の最高の劇場映画でした。


映画は5分程度の短編映画である「晴れときどきくもり」との二本立て。


雲とコウノトリの物語である「晴れときどきくもり」。こちらは、若手監督を育てるのにいい手法だなあなどと思いつつ、ほっこりとした気持ちに
させられるストーリー。また、3Dで見る映像の質の高さにカールじいさんへの期待も高められます。

その後、メインである「カールじいさんの空飛ぶ家」の上映がスタート。

特に、カールじいさんと妻であるエリーと出会った後のエピソードから彼女との別れまでを描いた導入部分の10分程度のストーリーが秀逸。この時点で、今年一番見るべき映画だったと確信させられます。


そこには、究極のラブストーリーがあります。


ただ、本作がすごいのは冒頭のラブストーリを大事にしつつ、それで終わらないこと。


ストーリーに多少疑問点が浮かぶシーンがないわけでないですが、(そんなこといったら、家が風船で空を飛ぶ時点でそもそもおかしいわけで)そういった点が気にならない程、細部にわたり考えられた圧倒的なクオリティで制作されております。


まず、映像に関して言えば、3Dの特性を生かした絵作りが非常に印象的。特に空中の迫力あるシーンは、思わず劇場にいた子どもが悲鳴を上げてしまうほどの迫力。Pixarの映像技術は毎回進化していきますが、「奥行き」という武器を手にいれたことで、今後ますます進化していくことが期待されます。


また、ストーリーも、一見シンプルですが非常に練られている印象。ラブストーリーとしても一人の冒険家が成長していく冒険小説としても非常に良く出来ております。加え、細かい伏線やユーモアも忘れずに織り込まれており、喜怒哀楽すべての感情を刺激し続けられました。


間違いなく、2009年時点における最高の映像技術を用いた最高のヒューマンドラマでした。


ぜひ、3Dの映像を劇場で楽しむことをオススメします。



ちなみに、余談ですが、映画の公式サイトにあるスタジオジブリの鈴木プロデューサーのコメントが非常に興味深いです。


「このおじいさんは宮さん(宮崎駿)だと思いました」


思わず納得してしまうコメントですし、多分、そうなんだろうなあと思います。(実際、微妙にルックスも似ていると思いましたし…同行者には否定されましたが)


他にも、家が空をとぶという発想等、ジブリをオマージュしている点があるのではと思われ、ある意味では、ピクサーからの宮崎監督へのラブレターであり、挑戦状なのかもしれません。


まあ、そういった見方はともかく、まずは劇場に見に行ってください。それも3Dで。



ただただ、面白いですから。