NHKの底力:日本柔道を救った男〜石井慧 金メダルへの執念〜

 先週の土曜日にNHKで放映された「日本柔道を救った男〜石井慧 金メダルへの執念〜」が非常にいい番組だったので備忘の意味をこめて書いておくことにします。

 前回のアテネ大会に比べ成果が残せなかった北京オリンピックの男子代表の中で、100キロ超級で金メダルをとり「一矢を報いた」石井選手に焦点をあてた番組だったのですが、異色のアスリートを非常に上手く紹介しておりました。

 今回の日本柔道の苦戦の理由を、柔道が「JUDO」に変化を遂げていき、どのような体制からも技をしかけてくる時代となった中で、「技のキレイさ」にこだわってしまっていること(環境変化に対応できなかった恐竜と似ているかもしれません)と分析した上で、「勝つことにこだわるために」、形にこだわらず、自分を環境に対応させていった石井選手の姿を描いておりましたが、長期間かけ丁寧に取材されたことが伝わってくる番組でした。

 ヨーロッパ遠征で不用意な逃げから二度も投げられてしまった経験をばねにしつつ、実践を通じ欧州の競合は「3分経過後」に体力が落ちると学んだ結果、

  • 体力をアップさせる
  • 勝負タイムでの決め技を磨く
  • 相手の体力を奪いつつ、「指導」を相手に与え優位に立つ

 ことが勝利に必須と考え実行したプロセスは見ていて目から鱗が落ちる内容でした。

 もちろん、石井選手の「地頭の良さ」というものがあってこその内容なのですが、取材対象者との間に適切な距離感をとり、綿密に取材を行ってきたことが画面越しに伝わってくる「さすがNHK」と思われる内容でした。

 こういった番組を見ると、改めて視聴料を払う価値があると感じてしまいます。ぜひ再放送やオンデマンドで再視聴できればと思う番組でした。