インターネットが(多チャンネル)テレビになる日

 先月のこの記事を読んだ時点でわかっていたことではありますが、2008年のパリーグの全試合がYahoo!動画で見られるようになることが正式に発表されました。

記事:TVバンク、2008年度パ・リーグ全試合を「Yahoo!動画」で無料配信(CNET)

 ちなみに、裏側で配信する技術はTVバンクP2P技術、「BBブロードキャスト」とのこと。(これは過去の中継と同じですね)

 また、この発表を見るときになるのは、今まで「プロ野球全試合放送」をうたっていたスカパーの対応。というわけで、2008年のスカパーのプロ野球特設ページを見てみたわけですが、今のところ「全試合放送」というようなアナウンスはありません。

 ただ、間違いなくスカパーにとってはプロ野球はドル箱コンテンツだと思うので、なんらかの対応が必要になるのは間違いないところで、そこで思うのは、ソフトバンクサイドが提示する条件です。

 単純に権利の再販ですむものか、というと個人的にはそうは思っていません。なぜなら、孫さんにとって「テレビ」は昔から渇望していたものだから。

 96年のテレビ朝日の株式取得、JスカイBの立ち上げの時代から宿願としていたテレビ的なコンテンツを手に入れたわけで、この核となるコンテンツと中心とし、ソフトバンクがもつ固定、携帯の通信インフラを組み合わせることで、強大な「インターネットTV」を今後作りにいくことは間違いと思っております。

 そこで、その核となるコンテンツを必要としているスカパーに対し、コンテンツを提供する代わりに、チャンネルを運営する事業者に対し、共同でインターネット配信を行わないかという提携関係を結ぶことが考えられます。(スカパーで配信している事業者をソフトバンクがターゲットにしていることはベネッセチャンネルの例でも明らかです。)

 もちろん、スカパーJSATの大株主にはNTTComが存在したり、過去、NTT東西と共同で会社を立ち上げたりという現実があるので、スカパーとしてソフトバンクと提携関係を結ぶことが難しいことはわかっています。

 ただ、もし、このパリーグの権利がスカパーにとって現時点で一番の競合になっていると思われるJ:COMの手にわたったら・・・と思うと、どうなるのでしょうか?

 個人的には「地上波」のレベルでは「放送と通信の連携」は起きないと思っている(P2Pを使おうともインターネット上で地上波のトラフィックをさばくことは現実的ではない、ワンセグを活用することで(*1)すでにPCやケータイで地上波を見ることができるから、というのがその理由)反面、スカパーやCATVのような多チャンネルのコンテンツに関しては間違いなくインターネットやモバイルで配信される流れが強まると思っていますので、非常に気になります。(個人的にはスペースシャワーTVがケータイやPCでサイマルで見られるのならば月1,000円は払うのですが…。)

 とにかく、この一ヶ月の間、目が離せない話題です。

*1 2008年より独自番組が配信可能となる予定ですが、今のところ地上波に関してはサイマルを続けるのではというのが個人的な見解です。